この間、体軸トレーニングを続けると、どのようになるのか?
という質問をいただきました。
賢い人は、
体に軸ができると、良さそうな雰囲気はあるけど、実際はどうなの?
って思いますよね。
僕は、まずはやってみよう!というマインドです。
直感でこれは面白そう!動きが良くなる気がする!
身体の動きが良くなるなら、やってみようと思いました。
それまでにやっていた筋トレと並行して実践すると、
仮説が検証できないので、スッパリやめて、
体軸トレーニングを始めて3年が経ちました。
体軸をやって、本当の意味で身体が好調の状態を知りました。
10年以上も運動をして、筋トレをしていたのにも関わらず、
身体の調子が良い状態を経験することで、今までの自分は、
気付かないような不調や弱点を持っていたんだと気付きました。
人は、良い状態を経験しないと、今の状態を認識できないんですね。
そもそも体軸とは何なのでしょうか?
「体軸」は、バレエの世界では「センター」武術の世界では「正中線」と呼ばれ、
身体運動を極めた人たちが、身体の中に感じる軸のことを、そのように呼ばれています。
身体の動きを極めることで、身体に軸ができたような感覚が得られる。
そして、軸の意識ができると、身体能力が高まっていくのです。
意識や、感覚は、主観的なものであって、
学術や研究で扱うのが難しくはあるものの、
コツといった感覚をつかめると、上手く行くようになるということは、
スポーツの世界では、頻繁に起きます。
体軸ができた状態とは?
体軸を理解するためにも、定義から確認しましょう。
体軸理論を提唱している高岡英夫先生は、
「重力線とその延長線上に沿って形成された直線状の身体意識」と定義しています。
例えば、肘を曲げて力こぶを作ってみてください。
体軸の意識の近くにある筋肉や骨が動きやすくなる。
筋トレをした人は、聞いたことがあるかもしれません。
トレーニングの5大原則の一つに、「意識性の法則」というものがあります。
これは、トレーニングで鍛える部位や、目的を意識する必要があるというものです。
実際に、肘を曲げて力こぶを作る動作で、①と②を比べてみてください。
① 何も考えずに、力こぶを作る感覚
②肘の内側から、肩に向かう筋肉を温かくなるまで擦る。
おそらく、
②のときの方が、力こぶを作る筋肉に力が入りやすかったと思います。
つまり、意識を向けることで、以下のようなことが起きます。
筋肉を意識する → 意識された筋肉が使われやすくなる
この意識性の法則を体に通る軸という形で意識することで、
軸周辺の筋肉が使いやすくなった状態が体軸が通った状態ということなのです。
体軸を意識する → 体軸周辺の筋肉が活性化され、軸周辺の筋肉が活性化する
体軸を作るにはどうしたらいいの?
では、身体の中に軸を作るには、どのようにしたら良いのでしょうか?
体軸は、先ほどのように、身体の外側にはないため、
触ったりさすったりすることで、意識できません。
ここで、体軸の意識を作る方法は、2つになります。
①体軸に近く、関係の深い筋肉を優位にして使う。
②体に対してかかる重力に対して、敏感になる。
です。
どちらの方法で、体軸を作るにしても、
身体が脱力していることが重要になります。
なぜ脱力が大事かを説明していきましょう。
①体軸の周りの筋肉を使うために、脱力が大事な理由
体軸は、上図の場所を通っています。
身体の内側にあることが分かりますね。
基本的に身体の外側にある筋肉の方が大きく力も強いので、
脱力ができないと、外側の筋肉が優先で使われてしまいます。
瞬間的な場面で見ると、力の大きい筋肉で身体を使って問題はありません。
しかし、
外側の筋肉は、疲れやすいという特徴を持っています。
そのため、
運動や日常生活の中で、反復して実践することや、姿勢の保持で
外側の筋肉主体で動いてしまうと、疲労しやすかったり、
腰を痛めてしまったりするのです。
内側の筋肉を使うには、外側の筋肉の緊張が緩んでいて、
必要最小限の力でバランスを取るような脱力が大事なのです。
②重力を意識するために脱力が大事な理由
体軸は、「重力線とその延長線上に沿って形成された直線状の身体意識」
でしたよね?
身体で重力を感じることは、
体軸を作るために重要な要素になります。
身体には、重力を感じる器官がどこにあるか知っていますか?
一つが、耳にある三半規管です。三半規管が身体の回転や動きを感じて、
脳に身体の状態を伝えて、バランスを取るということを行っているのです。
そして、
もう一つ重力を感じている器官があります。
それが筋肉です。
手のひらの上にペンを載せてみてください。
①手のひらの力を抜いて、ペンを載せる
② ペンを握って、ペンの重さを感じる
ペンの重さは変わらないはずなのに、①の方がペンの重さをより感じ、
②では、ペンの重さが分からないと思います。
筋肉のなかにある重力を感じる力を筋力の発揮に使われることで、
ペンの重さを感じづらくなってしまったのです。
体軸を作るためには、まず脱力できるようになりましょう。
例えば、眉の間の力や、奥歯の噛み締め、肩が自然と上がっているというのは、
力が入って緊張している証拠なので、緩めるようにしていきましょう。
意識ができたらどうなる?
それでは、実際に体軸ができたら、
なぜ身体の動きが良くなるのかを説明していきましょう。
体軸ができることによって、
背骨・大腰筋・横隔膜の働きが良くなります。
背骨の動きが良くなると?
背骨という体幹にある骨を、自由に動かせ、
背骨近くのインナーマッスルが働き、体幹をコントロールする力が強くなります。
体幹がどの状態でも安定することで、背骨が柔らかいまま、
上半身で産んだ力を下半身に伝えたり、
逆に下半身で産んだ力を上半身に伝えたりできるようになります。
大腰筋の動きが良くなると?
大腰筋は、みぞおちのあたりから、股関節の小転子に繋がっている筋肉です。
この筋肉が上手く使えることで、身体をブラさずに力強く動けるようになります。
大腰筋は、腰から脚を結ぶ大きな筋肉で、
この筋肉をコントロールできることで、体幹から脚の連動性が高まり、
安定した動きや、力強い動きができるようになるのです。
横隔膜の働きが良くなると?
横隔膜は、腰と上半身を結ぶ位置にある呼吸に関する筋肉です。
肋骨の下の部分に付着していて、呼吸をするときに、上下動します。
特に腹式呼吸では、肺の下側にまで呼吸を入れて膨らませることができ、
呼吸の質と量を変えることができます。
肺の中いっぱいに空気が入るようになったら、呼吸の量が変わるというのは、
すぐに分かりますが、呼吸の量が変わるというのは、エネルギーである酸素を
取り込む力が強くなっているということです。
呼吸の量が増えることで、 バテにくくなりますし、
日常生活では、深い呼吸は集中力を上げるためにも役立ちます。
また、呼吸の質が上がるというのは、
空気を取り込むときに、肺が上下に膨らみます。
さらに言うと、肋骨が柔らかく前後に膨らませることができたら、
上下左右に肺が膨らんで、空気を吸うことができます。
一方向に肺を押し広げて、
呼吸をするよりも、バランスよく肺を使って呼吸ができるので、
呼吸の効率が良くなります。
大腰筋と、横隔膜は身体の連動性を高める。
大腰筋と、横隔膜が主体として働くことで、
背骨に付いている体幹の筋肉がより働くように促し、
その動きを増幅させる働きがあります。
内側の筋肉が主導となって働くことで、
外側にある大きく力の強い筋肉がより大きな力を発揮すると言うことです。
まずは、身体が動きやすい状態を体感する。
背骨、大腰筋、横隔膜の動きを良くすることで、
実際に、あなたの身体が動きやすくなることを体感してもらいたいと思います。
やることは、背骨を下から一つずつ動かしていくだけです。
ワークを始める前に、呼吸の感じ、腕の動かしやすさ、
脚の動かしやすさを確認してみてください。
片手を動かす背骨に当てて、前後の屈曲/伸展→左右の側屈→左右の回旋を行う。
腰椎5番から頸椎1番まで順に脊椎を動かしていきます。
身体が温まるのはもちろんのこと、
身体が軽く動きやすい状態ができたのではないかと思います。
このように、
体軸は身体の動かしやすさにこだわったトレーニングで、
身体能力を上げることができます。
身体を自分で整えたい方は、
背骨、大腰筋、横隔膜を意識して、ワークを続けてくださいね。
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